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Brain(ブレイン)で教材を売っていると、必ず一度は検討するのが「◯部売れたら値上げします」という宣言です。
販売ページに「50部で3,980円→4,980円」と書き、実際に到達したら価格を上げる。買う側の「今買わないと損をする」という気持ちを動かす、コンテンツ販売では定番の手法です。
ただ、この手法について語られているのは、ほとんどが「やってみたら売れました」という個人の体験談です。
本当に売れやすくなるのか、そして値上げ後も売れ続けて最終的に儲かるのかを、まとまった件数で検証した記事は見当たりません。
そこで, この記事では、その記録の中から観測期間中に実際に値上げした111件を抜き出し、値上げの前と後で販売ペースがどう変わったかを1件ずつ追跡しました。
さらに、値上げしなかった教材を対照群(比較用のグループ)として並べ、「値上げしたから売れた/売れなくなった」と言えるのかまで踏み込んでいます。
目次
結論:段階値上げは「すでに売れている教材」でしか機能しない
先に結論をまとめます。データが示したのは、次の4点です。
- 値上げした教材でも、8割(80.6%)は値上げ後にも売れている。「値上げしたら止まる」は正しくない
- ただし販売ペースは値上げ前の14.3%まで落ちる。値上げは販売ペースの下落を止める手段にはならない
- それでも値上げしないより結果は良い。同条件で価格を据え置いた教材は、後半の販売ペース中央値が0(=完全に止まる)だった
- 効く/効かないを分けるのは価格ではなく「値上げ前の実績」。値上げ時点で100部以上売れていた教材は92.9%が値上げ後も売れ、29部以下では67.4%に落ちる
つまり段階値上げは「売れている状態を利益に変える」手法であって、「売れていない状態を売れる状態に変える」手法ではないということです。
以下、根拠となる数字を順に見ていきます。
そもそもBrainで値上げしている教材はどれくらいあるのか
まず前提の確認です。2週間の観測期間中に2回以上記録できた教材2,122件について、価格が動いたかどうかを分類しました。
| 値上げした | 111件(5.2%) |
| 値下げした | 14件(0.7%) |
| 価格を動かさなかった | 1,992件(93.9%) |
| 値上げと値下げの両方 | 5件(0.2%) |
値上げしている教材は20件に1件程度です。
よく語られる手法のわりに、実践している販売者はかなり少数だと分かります。一方で値上げは値下げの約8倍あり、Brainでは「価格を動かすなら上げる」のが基本方向であることも読み取れます。
タイトルで値上げを宣言している教材は0.4%しかない
興味深いのは、教材タイトルに「値上げ」と書いている教材が2,440件中わずか9件しかない点です。
「【近日値上げ予定】」「10部ごとに値上げします!」といった書き方が実際に存在します。
値上げ宣言の多くは販売ページ本文に書かれるため、タイトルだけでは実態を測れません。だからこそ「宣言したかどうか」ではなく「実際に価格が動いたかどうか」で追跡する必要があります。この記事が価格の記録を使っているのはそのためです。
値上げの刻み幅は「1回1,000円」が標準
111件が行った値上げ操作は、期間中に合計158回ありました。1回あたりの上げ幅は次のとおりです。
| 1回あたりの値上げ額 中央値 | 1,000円 |
| 〜499円の小刻み | 30回(19.0%) |
| 500〜999円 | 30回(19.0%) |
| 1,000〜1,999円 | 67回(42.4%) |
| 2,000円以上 | 31回(19.6%) |
値上げ後に着地する価格は2,980円(18回)・980円(17回)・3,980円(17回)・1,980円(17回)が多く、キリのいい価格帯を1段ずつ上がっていく形が主流です。
価格帯そのものの相場はBrain教材の価格相場を2,440件で集計した記事にまとめています。
値上げした後、本当に売れているのか|前後の販売ペース比較
ここからが本題です。値上げの前後どちらにも複数回の記録がある51件について、「1日あたり何部売れたか」を値上げ前と値上げ後で比べました。
| 値上げ前の販売ペース 中央値 | 1.00部/日 |
| 値上げ後の販売ペース 中央値 | 0.00部/日 |
| 値上げ後に1部も売れなかった割合 | 52.9% |
| 値上げ後もペースを維持・増加した割合 | 27.5% |
この表だけを見ると「値上げすると半分は完全に止まる」という結論になりそうです。
しかし、この数字をそのまま受け取るのは危険です。教材は値上げしなくても、販売開始からの日数が経つほど売れなくなっていくためです(ローンチ直後がいちばん売れる、という当たり前の減衰)。
値上げしなかった教材と比べると、評価は逆転する
そこで対照群を用意しました。価格をまったく動かさなかった教材のうち、観測期間の前半に1日1部以上売れていた教材(=値上げ組と同じく「売れている状態」だったもの)を抜き出し、期間の真ん中で前半・後半に分けて同じ計算をします。
| 値上げ組(27件)後半/前半のペース比 | 14.3% |
| 据え置き組(87件)後半/前半のペース比 | 0.0% |
| 値上げ組 後半に1部も売れなかった割合 | 25.9% |
| 据え置き組 後半に1部も売れなかった割合 | 55.2% |
結果は明確です。値上げした教材のほうが、価格を据え置いた教材よりも売れ続けています。
据え置き組は半数以上(55.2%)が後半に完全停止し、ペース比の中央値は0%でした。値上げ組の停止率はその半分以下の25.9%です。
「値上げしたから売れなくなった」のではなく、「値上げしなくても売れなくなっていた」というのが実態です。
値上げの有無にかかわらず、Brainの教材は公開から日が経つほど急速に売れなくなります。値上げ組が持ちこたえているのは、値上げ告知そのものが販売ページの更新やSNS告知のきっかけになり、露出が生まれているためと考えられます。
ただし、値上げする販売者はもともと販促に熱心である可能性が高く、この差のすべてが値上げの効果とは言い切れません(統計でいう選択バイアス=比べている2グループがそもそも別の性質を持っている状態)。
この記事の数字は「値上げが売上を何倍にする」という因果の証明ではなく、実際に何が起きているかの記録として読んでください。
「儲かるのか」を売上ベースで検証する
販売部数ではなく売上(価格×部数)で見ると、話はさらに厳しくなります。前述の値上げ組27件について、1日あたりの推定売上を計算しました。
| 値上げ前の推定日商 中央値 | 9,800円 |
| 値上げ後の推定日商 中央値 | 2,608円 |
| 値上げ後に日商が増えた割合 | 18.5% |
値上げしても、日商が増えたのは5件に1件(18.5%)だけでした。単価が上がっても、部数の落ち込みがそれを上回るためです。
損益分岐点:何%まで部数が落ちても元が取れるか
値上げの採算は、実は暗算できます。
価格をr倍にしたとき、部数が「1−1÷r」まで落ちても売上は同じになります。今回のデータでの値上げ倍率の中央値は1.6倍でした。
| 1.3倍に値上げ(例:2,980→3,980円) | 部数が23%減までなら売上維持 |
| 1.6倍に値上げ(今回の中央値) | 部数が37%減までなら売上維持 |
| 2.0倍に値上げ(例:1,980→3,980円) | 部数が50%減までなら売上維持 |
| 5.0倍に値上げ(例:980→4,980円) | 部数が80%減までなら売上維持 |
実際の値上げ後の販売ペースは値上げ前の14.3%(=85.7%減)でした。この落ち込みを埋めるには理論上7倍近い値上げが必要になります。
つまり「値上げで短期の売上を伸ばす」という発想はほぼ成立しません。
それでも段階値上げに意味があるとすれば、狙いは短期の売上ではなく次の3つです。
- 締切効果:値上げ前に駆け込み購入を集め、販売初期の部数を前倒しで積む
- 1部あたりの利益:ペースが落ちても、残りの購入者からは高い単価を受け取れる
- 価格の正当化:「安かったのは初期購入者への還元」という物語で、高価格を納得させる
効かない典型:100円ローンチ→毎日1,000円ずつ値上げ
データを1件ずつ見ていくと、明らかに失敗しているパターンが浮かび上がりました。100円などの極端な低価格で公開し、数日で数十部を集めてから、毎日のように1,000円ずつ値上げしていく型です。
観測期間中に新しく現れ、500円以下でスタートし、その後値上げした教材25件を追跡すると次のようになりました。
| 低価格期に売れた部数 中央値 | 5部 |
| 値上げ後に売れた部数 中央値 | 1部 |
| 値上げ後に1部も売れなかった割合 | 44.0% |
| 総販売部数のうち低価格期が占める割合 中央値 | 96.4% |
| 低価格期の推定売上 中央値 | 1,000円 |
| 値上げ後の推定売上 中央値 | 480円 |
売れた部数の96.4%が、100円前後で売っていた期間に集中しています。本命であるはずの高価格帯では、ほとんど売れていません。実際の追跡例を挙げます(部数はいずれも観測期間中の実測値です)。
| 100円で71部 → 4回値上げして4,980円 | 値上げ後に売れたのは8部 |
| 100円で70部 → 5回値上げして5,980円 | 値上げ後に売れたのは4部 |
| 100円で44部 → 4回値上げして4,980円 | 値上げ後に売れたのは1部 |
| 100円で33部 → 7回値上げして7,980円 | 値上げ後に売れたのは1部 |
最後の例は、8日間で7回(=ほぼ毎日)値上げして100円を7,980円まで引き上げていますが、その間に増えた部数は1部です。100円で33部売った売上は3,300円、値上げ後の売上は7,980円。かけた手間に見合っているとは言いがたい結果です。
なぜこの型は機能しないのか
理由は「100円で買った人」と「5,000円を払う人」が別人だからです。
100円という価格は購入の判断をほぼ不要にするため、教材の中身が評価されて売れたわけではありません。そこで積み上がった数十部は、5,000円を正当化する社会的証明(他人が買っているという安心材料)としては弱すぎます。
さらに、値上げのスピードが速すぎると「明日にはもっと高くなる=この価格に根拠がない」という逆の印象を与えます。
段階値上げが締切として機能するのは、「今の価格には理由があり、次の価格にも理由がある」と読み手が納得できる場合だけです。
Brain全体で最も多い価格が100円(364件・全体の14.9%)である背景には、この「実績作りのための戦略的な100円」が相当数含まれていると考えられます。
詳しくは価格相場の記事を参照してください。
効いている教材の共通点|値上げ後も売れるのはどんな教材か
では、値上げ後も売れ続けている教材は何が違うのか。値上げ前の状態で分類すると、はっきりした差が出ました。
1. 値上げ時点での販売実績(最も差が大きい)
| 値上げ時点で29部以下(43件) | 値上げ後も売れた割合 67.4%/中央値1部 |
| 30〜99部(27件) | 値上げ後も売れた割合 88.9%/中央値3部 |
| 100部以上(28件) | 値上げ後も売れた割合 92.9%/中央値12.5部 |
値上げは、100部売れてから初めて本領を発揮する手法だと分かります。29部以下の教材は、3件に1件が値上げ後に完全停止しています。
2. レビューが付いているか
| レビュー0件(30件) | 値上げ後も売れた割合 63.3%/中央値1部 |
| レビュー1〜4件(20件) | 値上げ後も売れた割合 85.0%/中央値3.5部 |
| レビュー5件以上(48件) | 値上げ後も売れた割合 89.6%/中央値4.5部 |
Brain全体で見ても、レビューが1件以上ある教材の販売部数の中央値は79.5部、レビュー0件の教材は0部です。
価格を上げる前に必要なのは、値上げ宣言ではなくレビューだという結論になります。
3. 値上げ幅が小刻みであること
| 1.3倍未満の小刻み(26件) | 値上げ後も売れた割合 88.5%/中央値6部 |
| 1.3〜2倍(30件) | 値上げ後も売れた割合 80.0%/中央値3.5部 |
| 2〜5倍(20件) | 値上げ後も売れた割合 65.0%/中央値2部 |
また、値上げ前の価格が5,000円以上だった教材(17件)は82.4%が値上げ後も売れ、中央値7部と最も安定していました。この層の値上げ倍率の中央値は1.25倍です。
高い価格で売れている教材ほど、小さく上げて成功しているという関係が見えます。
うまくいっている実例
実際に「値上げしながら伸びた」教材の記録を挙げます。
| 2,980円で17部 → 34部 | 3,980円で57部 → 4,980円で68部 → 6,980円で88部 |
| 6,580円で262部 | 6,680円→6,780円→6,980円と100円刻みで上げ、293部まで継続 |
| 6,980円で209部 | 7,980円で230部 → 8,480円で242部 |
いずれも最初から数千円以上で売れており、値上げ幅は1〜2割程度です。
1件目は値上げのたびに部数が加速しており、段階値上げが最も理想的に機能した形と言えます。共通しているのは、値上げが「売れている事実の追認」になっている点です。
実践:段階値上げをどう設計するか
ここまでのデータから、実際に値上げを組み込む場合の設計指針をまとめます。
1. 値上げ宣言を出すタイミング
- 販売0部の状態で「10部ごとに値上げ」と宣言しない。買い手にとっては「誰も買っていない教材が勝手に高くなる」だけで、締切として機能しない
- レビューが5件以上、販売30部を超えてから宣言に切り替える。データ上、この線を超えると値上げ後の販売継続率が9割近くまで上がる
- それまでの初期は、価格を動かすよりレビューを集めることに集中する(レビュー0件の教材の販売中央値は0部)
2. 刻み幅とペース
- 1回の値上げは1〜2割まで。2倍を超える値上げは、値上げ後の販売継続率が65%まで落ちる
- 毎日値上げしない。7回値上げして1部という実例があるとおり、頻度が高いほど価格の根拠が薄く見える
- 着地点の価格は同じジャンルの中央値を基準にする。ジャンルによって相場は最大10倍違う(ジャンル別の中央値一覧)
3. 宣言の書き方
販売ページに書く場合は、次の価格と、今どこまで来ているかをセットで書くのが原則です。
| 機能しにくい書き方 | 「随時値上げします」「そろそろ値上げ予定」 |
| 機能しやすい書き方 | 「50部到達で4,980円に改定します(現在38部)」 |
後者は「いつ・いくらになるか」と「今どこまで来ているか」が両方分かるため、締切として成立します。前者は期限のない予告で、購入を先送りする理由にしかなりません。
4. 値上げ後に必ずやること
値上げそのものより、値上げをきっかけに露出を作れるかどうかのほうが販売部数への影響は大きいと考えられます。値上げ実施時には、次を同時に行うのが有効です。
- SNSで「値上げしました/次は◯部で◯円」と実績とともに告知する
- タイトルに「【◯部突破】」を入れる(部数表記のある教材147件の販売中央値は196部、ない教材は4部)
- 紹介者(アフィリエイター)に値上げ予定を先に伝える。締切があるほうが紹介記事を書いてもらいやすい(Brainアフィリエイトの仕組み)
「◯部突破」表記のある教材は価格の中央値も5,980円(ない教材は1,980円)と高く、レビュー数の中央値は38件です。ただしこれは「売れたから書いている」という順序であり、書けば売れるわけではありません。
よくある質問
Brainで値上げしている教材は多いですか?
2週間の観測で価格が上がったのは2,122件中111件(5.2%)でした。値下げは14件(0.7%)で、値上げは値下げの約8倍あります。
値上げすると売れなくなりますか?
値上げ後も8割(80.6%)の教材が1部以上売れています。ただし販売ペースは値上げ前の14.3%まで落ちます。一方で価格を据え置いた教材は同じ期間にペースが0まで落ちており、値上げが原因で止まったとは言えません。
値上げすれば売上は増えますか?
増えたのは18.5%だけでした。1.6倍(今回の中央値)の値上げなら部数が37%減までは売上を維持できますが、実際の落ち込みは85%です。短期の売上増を狙う手法としては期待できません。
何部売れてから値上げするべきですか?
データ上は100部以上が最も安定します(値上げ後も売れた割合92.9%)。最低ラインとしては30部・レビュー5件を目安にしてください。29部以下では67.4%まで落ちます。
100円で売って実績を作ってから値上げする方法は有効ですか?
今回追跡した25件では、総販売部数の96.4%が100円前後の期間に集中し、値上げ後は44%が1部も売れませんでした。実績作りとしては機能しても、そのまま高価格で売れる保証はありません。
1回にいくら値上げすればいいですか?
実際に多いのは1回1,000円(中央値)ですが、成績が良いのは1.3倍未満の小刻み(値上げ後も売れた割合88.5%)です。元の価格の1〜2割を目安にしてください。
まとめ:値上げは結果であって、原因ではない
Brainで実際に値上げした111件を追跡して分かったことは、次の4点です。
- 値上げしている教材は5.2%と少数。ただし値上げは値下げの8倍あり、方向としては「上げる」が基本
- 値上げ後も8割は売れるが、ペースは14.3%まで落ちる。ただし据え置いた教材はもっと落ちる(ペース比0%)
- 売上が増えたのは18.5%だけ。段階値上げは売上を伸ばす手法ではなく、1部あたりの利益と締切効果を取りにいく手法
- 効くかどうかは値上げ前の実績で決まる。100部以上・レビュー5件以上・1〜2割の小刻みが、値上げ後も売れる条件
結局のところ、値上げ宣言は「売れている教材をさらに高く売る」ための道具です。
売れていない教材に付けても、締切としての力を持ちません。まだ最初の数十部を積めていないなら、価格の設計より前に、教材そのものと販売ページを見直すほうが効果的です。
出品の流れと手数料はBrainで教材を売る方法に、実際にどのくらい稼げるのかの分布はBrainは稼げるのかを実データで検証した記事にまとめています。
今どのジャンルのどんな教材が売れているかは、当サイトのトップページで毎日更新しています。値付けを決める前に、同じジャンルの上位教材が今いくらで売られているかを確認してみてください。
